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#2008.08.19 Tuesday ... tsubomi「1−13。」

角三はサエと一緒に吉祥寺に来ていた。一緒と言ってもサエはサイフに入っているだけだ...

理由はもちろん新たなエロ本屋の開拓だ。しかし特にめぼしい所もなくただ街をぶらついていた。

風が暖かくなり始め、街行く人もどことなく活気ずいている。
角三はウロウロしているうちに井の頭公園に来ていた。
公園には花見客が所狭しとシートを広げ、弁当やら酒やらを楽しんでいる。

角三はこんな雰囲気に包まれ羨ましくなりとりあえず近くの売店でビールを買う。
花見客達を見学しながら自分も花見の雰囲気を味わう。

そして飲む。


いい感じで酔っぱらった角三は大盛り上がりの団体の所に乗り込み、そこのオッサン達と仲良くなった。

「イヤー花見は最高ですな!あんた一人で来たのかい??」

「実はそうなんですよ!」

「そりぁ寂しいな!良かったらここで一緒に一杯やらないかい??」

「本当にいいんですか?じゃお言葉の甘えて!!」



とまぁこんな感じで角三はそこでタダ酒を飲みまくる。
あまりの飲みっぷりの良さに他のグループもにも誘われ、ちょっとした公園のスターになっていた。

「ほれもっともっとのめーぃ!」


角三はタダという事もあり煽られれば煽られるだけ次から次へとバカバカ飲んでいた。
 ビール、日本酒、焼酎、ワイン。

数えきれない程飲み、完全に体の中が酒だらけになった角三は気がつくと、
夜の公園で地べたに酔いつぶれていた...。

今まで一緒に騒いでいた連中は陰も形もない。
時計を見ると夜中の3時。

終電もとっくになくなった角三はまだべろべろの状態。
何がどうなってもいい状態になっている。
すると角三の頭にポツポツと雨粒。

よりによって雨が降り出した。
角三はかろうじて隣にあったベンチの下に寝返りを打つ形で潜り込んだ。

そこからというもの、角三は雨だろうが何だろうが関係なく、朝の10時まで寝続けた。

朝日と公園に散歩にくる人達の話声で起きた角三。

そして昨日の記憶を振り返る。


(アレェ俺昨日確か、知らない人達と飲んでて......)


そこからに記憶が全くない....。

(本当に覚えてないなぁ...気をつけないとな!てかそうだ!!サエは??サエ!!
確か一緒に家出たよな!!サエ??サエ??サエ??)

角三はサエと一緒に家を出た事を思い出し、そしてそれがいなくなっている事に気付きポケット、サイフを必死に探すが見つからない!

辺りを探すが全然見つからない。

何よりも大切な物を失ってしまった角三。

酒の飲み過ぎで愛想を尽かされた角三。


今になってことの重大さに気付き深く落ち込む角三。

生き甲斐を失ってしまった。

角三の全てが一瞬にして消えてなくなった。

確か始めて出逢ったのも1年前のこの季節。

何気なく行った近所の自販機での突然で偶然な出会い。
それから二人でたくさん作ってきたいろいろな思い出。

今まで角三の心の中に刻み続けてきた足跡は今日を境に宙に舞ったようにスッカリ消えている。

そして今後出逢える事は二度とないだろう。


角三は何十年ぶりに涙を流した。


勝手にどんどんと溢れ出てくる悲しみの形。

地面をにポツポツと落ちていく悲しみの形。

角三は顔をグシャグシャにして泣き続ける。

朝っぱらから嗚咽をしながら泣きまくる中年を気色悪げに通り過ぎる通行人。

角三はそんな事全く気にせず泣いた。

とにかく泣いた。





一通り泣きまくりやっと少し落ち着きを取り戻し始めた角三。


朝日が出ている事に気付いた角三はふと空を見上げる。



そこには朝日に照らされ、他よりも少し遅れながらも花咲きを待つ希望に満ちあふれた桜のつぼみが並んでいた。




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