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#2011.01.08 Saturday ... スポンサーサイト

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#2008.10.09 Thursday ... 「Tsubomi」Final....

 サエは呆然とした表情で夜の街をふらついている。

頭の中にはさっきの衝撃的な言葉が反芻している。


つい数時間前の出来事。


「実は俺........一流企業なんか勤めてないんだ...ティッシュ配りなんだ...渋谷駅で。」


サエはずっとダマされていたあまりのショックでとにかく逃げ出したく、走って出てきてしまった。
そして今行く当てもなく一人フラツイテいる所だ。

(男って何なんだろう?? 信用できる人なんていないんだね。あたしは今まで何やってたんだろう??必死になってた自分がバカみたい。)


溢れ出る涙に逆らわずとにかく体の反応にただただ身を任し人目をはばからず街を歩くサエ。
気持ちとは裏腹に颯爽と響き渡るヒールの音。

サエを苦しめたのはそれだけではなかった。



「実はちょっと前からマミとも付き合ってた。」




大好きな人と親友の二人に同時に裏切られたサエの気持ちはズタズタに引き裂かれ足取り通り行き先を見失っていた。
気がつくとサエは夜の公園のベンチに腰掛けていた。




涙は尽きる事もなく止めどなく溢れ出してくる。



静かな公園にはポツポツと降り出した雨音とサエのすすり泣きだけが聞こえる。


頭の中には勝手に一人で盛り上がっていたタッチャンとの思い出が蘇る。



初めて一緒ご飯を食べた時の事、お祭りに行った事、一緒に見たイルミネーション。
タッチャンの声、笑顔、しぐさ、臭い。思い出せば思い出す程それが涙となって流れ落ちる。
なんでこんなに悲しい思いをしなければならないのか?



世の中の全てが信用できない。
世の中全てがどうでもいい。


泣いて少しでも気持ちが楽になるなら.....少しでも苦しみが涙で流れるなら.....。




とにかく泣いた。二度と泣き止む事がないくらい泣いた。






一体どれくらい泣いたのか。

気がつくと雨はやんでいた。


何気なく顔を上げると満月に照らされ、雨粒に濡れながらも凛と輝く桜のツボミがしっかりと枝にしがみついていた。

そして視線を落とすとそこにはいつか自分が落としたあの時のサイフが落ちていた......。


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